インナーチャイルドとの出会い

インナーチャイルドという言葉と出会ったのは、6年ほど前のことです。私はお芝居をやっているのですが役者という仕事上、役柄を演じる上で必ず自分と向き合います。私のインナーチャイルドとの出会いはちょうどその、稽古場で起きました。

インナーチャイルドとの出会い〜体験記〜

そのとき私は確か娼婦の役を演じていました。娼婦の役作りをするために、まずは娼婦という職業を選んだ彼女の心情を理解しようとするところから始まります。自分の役を理解することがとても大事なんです。そして、彼女と私の相違点を次々に分析していきます。

そのとき、私にある一つの考えが浮かびました。彼女は異性の愛に飢えていたのではないか。娼婦という職業を選ぶということによって、彼女は偽者の愛でもいいから自分を愛してほしかったのではないか。異性の愛に飢えている、という状態は多くの場合子供時代に父親から(この場合は女性ですので)の愛情が欠乏している場合が多いと考えられます。

男性で女性にだらしないという場合も、多くの場合小さい頃母親から十分な愛情を受けず育ったということが原因としてあるようです。そこで私自身にもそのような部分が少し当てはまったのでその子供時代の思い出を稽古場で回想していました。

インナーチャイルドイメージ

目を閉じて瞑想状態に入ると、しばらくして小学生の自分が浮かんできました。おそらく1年生くらいでしょうか。私の父親は小さい頃とても短気でいつも母親と喧嘩していました。

私は両親が喧嘩するたびに布団に隠れて泣いていました。うちの父親は普段はおとなしくとても優しい人なのですが、一度怒り出すと手をつけられないくらいになります。怒りの感情を止められない人だったのです。

そんな喧嘩している二人を見て泣いている自分が現れました。二人の喧嘩を止められない自分がとても悔しく、そしてとても悲しかったのです。父親に甘えたいのに甘えられない自分がいました。

怖くて甘えられなかったんです。何がきっかけで父親に怒られるかわからなかったので、いつも気に入られようと勉強も頑張って怒られないようにしていました。気付くと稽古場でぼろぼろ涙を流していました。そんな自分に気付いたことで自分の癖に気付くことができました。

インナーチャイルドとの出会いは決して楽なものではありませんが、そんな傷ついた子供時代の心に気付くことで確実に自分の何かが変わった気がします。私はこうして役を演じる度に本当の自分に出会い、癒されていってる気がします。

自分の小さい頃のことを果たしてどれだけの人がきちんと覚えているでしょうか?

人は悲しかったり、寂しかったり、辛かったりする記憶は自然と忘れるようにできています。そうしなければ生きていけないからです。忘れているようで、すべての記憶は自分の潜在意識の中にあります。

私の場合は、すごく相対する癖が自分の中にあると気付きました。人前で何かをして、人に注目されることが好きな自分と大勢の人の中に溶けこんでいけない自分。引っ込み思案な自分。守られている環境の中では自分らしくいられるのに、一度外に出ると他人の目が怖い。昔から妙に孤独感を感じやすかったりもしました。一人取り残されているような、誰からも必要とされていないような錯覚を覚える事もありました。

その寂しさを埋めるために、好きでもない人と付き合ったりもしました。でも、その行為によって結局は自分が傷ついてたということに気付いたのは、私がお芝居をはじめてからです。

役によって自分のフォーカスする部分も異なりますが、いろんな役を演じる前にまず自分という人間はどういう人間なのかを知るため、徹底的に自分と向き合います。性格、癖、恋愛の傾向、対人関係の傾向などなど。そうしたものを徹底的に分析していった結果、いろんな自分が見えてきました。自分が見たい自分だけでなく見たくない、認めたくなかった自分もです。

そこには子供時代のさまざまな経験が凝縮されていました。私は幼稚園の頃から小学校卒業するまでずっといじめられていました。登校拒否をするまでもなかったのですが、それでもやっぱり学校が好きではありませんでした。一人になる時間が多かったからです。 そこから、団体生活というものを好まなくなりました。

その頃に覚えた深い孤独感は大人になってからも忘れたようでしっかり心の奥底に染み付いていました。と同時に、両親の喧嘩が耐えない家庭だったというのもあり、父親への恐怖心と、父親に甘えられなかった子供の頃の寂しさが今の私の恋愛傾向を作っているというものです。

これらの原因に気付いた頃から、少しずつ変わってきました。もっと自分を愛するようになりました。そうすることで妙な孤独感を感じなくなってきたのも事実です。

本当の自分と向き合うという作業は時に辛いものです。辛すぎて逃げたくなる事もあります。でも、向き合わなければ、いつまでたっても同じ事を繰り返す自分がいます。

すべては子供の頃に傷ついた自分が潜在意識に残っている、その癖が起こさせている行動です。

本来持って生まれた素質と自分を活かすために、インナーチャイルドの存在を認め、癒すことは、自分らしく生きていくために必要不可欠な作業だと思います。


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